未来人と蚯蚓の貴族
我がブログに再び朗報です!「THE ICBM」管理人、サワキさんから作品を頂きましたのでアップいたします。内容はななしのゴンベエさんがリクエストを下さった蚯蚓伯爵×ゴーピンクSSとなっております。
作品には犯し尽くされ、伯爵に身も心も委ねるユウリが登場します。伯爵様の支配する空間の中でゴーピンクは要救助者のユウリを助けることが出来るのでしょうか!
伯爵の目が赤く輝き、蕩けるような優しく甘い巧みな言葉に身も心もゆっくりと徐々に蕩けていくマツリ。傷付いた心が伯爵に治療され、染め上げられた時にマツリの瞳に映るものは……
兄弟からとても愛され、根は素直に、とても優しくとても強い子に育った娘。マツリはどのヒロインよりも命の重みを知っているヒロインだと思います。そんな彼女が空間内に引き込まれ、ゆっくり時間を刻みながら堕ちゆく姿。ゆっくり緩やかに浸かっていくよう、私も作品に引きずり込まれていきました。
それではヒロピンサイトの巨匠、サワキさんの書かれた伯爵とマツリの愛で織り成す世界に篤と浸ってください!
未来人と蚯蚓の貴族
「ここは……」
ゴーピンク/巽マツリは瞼を開けた。
そこはさっきまでいた火災現場ではなかった。紫色のベールの渦巻く空間で、彼女は逆三角型のバイザーに、不安げな目を浮かべ、あたりをみまわしていた。
「みんな、お兄ちゃん……」
火災現場で倒壊したコンクリートの柱の下を通り抜けて、要救助者の捜索を行っていたはずなのに――気づいたら、マツリはこんな場所にいて、ひどく身体が痺れていた――
「なにもおそれることはないのじゃ……」
不意に聞こえる声――マツリはあたりを見回した。バイザーごしに不安げな目線を投げるマツリ――声は鳥肌を催させるような気持ち悪い声だった。
「誰? 誰なの?」
マツリは声を発し、立ち上がった。立ち上がろうとした。
膝をあげた彼女は身体の感覚が急に消えてしまったような違和感を覚え、気づいた時には地面にうつ伏せになっていた。
「身体が痺れる……動かないっ」
拘束するものはなにもないのに、身体はひどく熱くなり、眉間にしわを寄せた。
「なにもおそれることはないのじゃよ……」
気持ち悪さとは裏腹に、声は優しく語りかけてくる。マツリはとっさに耳に手をあてようとした。マスクにあてた手で声を遮断できるはずもなかったが、そうしたくなるものが声にはあった。
「だれなの? どこにいるの? 災魔はどこ……」
「災魔ではない……」
声はゆっくりと収束してきて、マツリの耳にも声の方向がわかるようになってきた。彼女は顔を向けた。紫色に渦をまく空間の向こうに黒っぽい影が見えた。
「ワシはおヌシの敵ではない……」
そこに現れたのは、赤紫色の怪人だった。背丈は二メートルぐらいで、災魔のようなグロテスクな身体に、貴族を思わせるような不格好なフォーマルウェアを羽織り、女性とわかるものを肩に担いでいた。
「嘘よ!」
肩を踊らせながら、マツリは起きあがろうとする。身体がひどく消耗して、気を張ってないと地面に吸い込まれてしまいそうだった。
「そうか、では、こやつにきいてみるよい」
どさっと、相手はマツリの目の前に落とした。マツリは無意識に目をやる。
「ユウ――ユウリさん!」
そこに投げ出されたのは、かつて彼女もともに戦ったヒロイン――タイムピンク/ユウリだった。
マツリは目を丸くして、その姿をみた。ぼろぼろのクロノスーツを着ていて、マスクは脱がされ、ひどいにおいを放っていた。
「マツリ――あなたあなたなの……」
譫言のようにつぶやく彼女――口元は苦悶を帯びた声とは裏腹に半開きになって――笑っていた。髪は乱れ、肌は真っ青だった。
「そうです。ユウリさん! どうしてどうしてこんなひどい目に――」
「ひどくなんかないわ――」
ぼろぼろのタイムピンクのあげる声――それは正常ではない声だった。助けなきゃ――救命士の使命感にマツリは動いた。
「あなたも――蚯蚓伯爵様にたっぷり犯されるといいわ」
「えっ」
動こうとする意志に反して、身体は痺れて満足に動かない。
息をついて、身体を起こそうと彼女はもがいた。変身しているときにいつも感じる気持ち良さにも似た身体の軽さはどこかへ消えてしまっていて――彼女に投げかけられる言葉。ぼろぼろに傷つけられた彼女の発する狂った声――
「なにをいって――」
「わたしね、蚯蚓伯爵様に愛して貰ったのよ……これまでのセックスとは比べモノにならないほど激しく、比べモノにならないほどロマンティックに」
生々しいセックスという言葉がマツリの耳に反響する。彼女はきゅっと目を細めた。ぴくっぴくっと身体を起こす。彼女の顔には半笑いの表情が張り付いていて、ぼろぼろのスーツの間からは丸みを帯びた彼女の皮膚がかいま見えた。
「そんなぼろぼろの身体で……」
「そう、わたしが望んだのよ。ボロボロになるまで愛してって。めちゃくちゃに犯してって」
声は響く。
マツリは涙を流しそうになった。生々しさを露わにして、生々しい姿をさらしたユウリの姿は、彼女の心の中に入り込んでくる。
「あんな敵に犯してなんて……」
「そうじゃないわ。蚯蚓伯爵様は、敵なんかじゃないわ」
つんとしたにおい――それは激しい雄のにおいだった。さっとさした影に、マツリは頭をあげた。ユウリの横合いから露われた怪人――赤黒く蠢いた相手――のたうつ何百もの蚯蚓が見えたとき、マツリはそれを見つめてしまった。
「タイムピンクをこんな目に遭わせて」
「そうではないのじゃ……タイムピンクがこうなることを望んだのじゃ……そうして、おヌシもやがてワシに激しい幸せを求めむさぼるようになるのじゃ」
マツリにとって、いまのユウリは要救助者で助けなきゃいけなかった。迫りくる敵に思うように力がでない。だけど、お兄ちゃん――マトイお兄ちゃんはいつも、絶体絶命の時、『気合いだ気合い!』と言っていた――
「そんなことにはならないわっ!」
毅然と、マツリは声をあげた。救命士として、救急戦隊として、人の命を助けることに命をかけてきた。お兄ちゃんたちほどじゃないけど、命を助けることには奮闘してきた。
吸い込まれるような脱力を感じながら、ゴーピンクは立ち上がる。立っているだけでつらくて――
「はあぁっはぁっ……」
「ワシの結界の中にありながら、力を発揮できるとはすごいことじゃのう……」
「どういうこと……?」
「ワシの結界は、ワシが遊ぶ為の空間じゃ。この結界の中では、ワシが遊ぶ為におヌシらオナゴの力を自由自在に操ることができるのじゃ……」
「そんな……」
マツリは腰に手をやった。ホルスターに手をやる――だけど、そこに武器はない。
「もちろん、おヌシらの武器を使うこともできない……それでも、おヌシは戦うつもりなのかなのぉ」
「もちろんよ……」
そういうマツリの声から苦渋が漏れる。息があがる。マツリは呼吸が次第に荒くなるのを感じ、呼吸の回数を整えようとした。あまり息を繰り返していると過呼吸になってしまう――だけど、意識すればするほど――身体は言うことをきかなくなっていき――
「どうしてっ……」
身体が自分のものではなくなっていくような違和感、眉間にしわを寄せ、ゴーピンクは胸に手をやった。三角形が折り重ねられて作られた胸の頂点――痛い。締め付けられるようだった。
「さあ、戦うのじゃ……おヌシが選んだ道なのじゃからなぁっ」
蚯蚓伯爵は笑って、足をユウリの頭の上にのせ、ゆさゆさと揺さぶった。
「タイムピンクから離れて……あっくっ……」
よろめきながら、ゴーピンクは蚯蚓伯爵へ向かっていく。足がどけられる。その足がタイムピンクの身体をこづき、ユウリは仰向けになる。その胸が上下している。マツリは、一歩二歩と歩く。
「あっ!」
足下がおぼつかなくて、彼女の足がユウリの肩にぶつかって、ほんのわずかな軸のずれが彼女の身体を地面へ引きずり落としていく。
「あぁっ……くっぁっ……身体が熱い……」
「さあ、そろそろ、あきらめたらどうじゃ……・おヌシは立っているのもやっとなんじゃろう……」
タイムピンクの横で四つん這いになるマツリ――顔をあげ、バイザー越しに敵の姿をみた。ユウリさんを手篭めにした恐ろしい敵――その目が赤い光を放つ。それは発光ダイオートのライトのようで、かつ光線のようだった。
「負けない……負けたくない……」
「そう思うことは大事じゃ……正義のヒロインにとって、負けない気持ちは大切なことじゃ……」
マツリは、敵の目をみてゆっくりとした声をきいた。耳の中に届いて、鼓膜を小刻みにふるわせた。マツリは耳に手をやり、だけど痺れて、体勢を保っていることができずに――四つん這いになった。
「ゴーピンクよ……おヌシは正義のヒロインじゃな?」
「もちろんよ……」
「おヌシの敵はだれじゃ……」
「災魔一族……」
「そうじゃ。ワシは災魔ではない」
「そんなの――」
「ワシの声をきくのじゃ」
ぴっしゃりとした声に、マツリは背筋をぴくっとさせた。
「はい……」
「よかろう。ワシは災魔ではない。どんな災害も起こすことができないのじゃ……ワシは蚯蚓伯爵。時空から時空を旅して、おヌシのようなオナゴと遊ぶだけのもの……よいな」
「はいっ……」
「蚯蚓伯爵は敵ではない……ゴーピンク、言ってみるのじゃ……」
「蚯蚓伯爵は敵ではない……」
「そうじゃ……ゴーピンク、おヌシは敵ではないワシの目をよくみるのじゃ……」
耳鳴りがした。マツリは、ただ蚯蚓伯爵の赤く輝く目をみて、そのまなこに引きずり込まれていく不思議な感覚を感じていた。その感覚を帯びると、痺れた感覚はにわかに心地よいものになっていく。身体は軽くなり、なにもかも溶けてしまうような倦怠感は柔らかいものに変化していく。
「はいっ」
「ワシがタイムピンクにしたことはおヌシと同じ、傷ついたオナゴをいやしてあげただけのことじゃ。そうじゃな?」
声はゆっくりして柔らかく、何者をもほぐすようにマツリの中に入り込んでいく。
「はい、言う通りです……」
マツリの口に言葉がついてでる。口にしてしまうと、マツリの心には蚯蚓伯爵の言葉が正しく思われてきた。蚯蚓伯爵はなにも間違えたことを言っていないし、やっていない、そういうふうに思えてきた。
「そうじゃ……・」
「ゴーピンク、ワシのみるところ、おヌシもまた傷ついておる。いますぐ治療が必要じゃ」
蚯蚓伯爵は手をさしだした。
「立ち上がってみるのじゃ……」
すると、さっきまであんなに身体が重かったのに、その重みがなくなっているのがわかって、マツリは手をのばして、手をとった。手は暖かかった。マツリは立ち上がった。地面から立ち上がる、ただそれだけのことなのに、まるで肩に翼がついていて飛び上がるような感覚で、思わず彼女は声をあげた。
「あっ……・」
「どうしたのじゃ……」
「身体が軽いです……」
「そうじゃ、ワシが治療すればもっと身体は軽くなるのじゃ。さあ、ゴーピンクよ、こっちを向くのじゃ」
言ってマツリは蚯蚓伯爵と向き合った。マツリの肉体はアンチハザードスーツに身を包んで、プロポーションを露わにしていた。ひきしまった手足に丸みを帯びた腰や、胸――
蚯蚓伯爵はスカートに手をやる。
「いやっ!?」
思わずされたスカートめくりに手をやって、マツリは声をあげる。下劣な笑いがして、彼女は顔をあげた。赤い目の光はさらにつよくなる。
「そうじゃ、それはいやなことじゃ。だが、おヌシはワシからされることはなにもいやなことがなくなるのじゃ。むしろ、いやなことをされればされるほどキモチいい、そう思えるようになってくるのじゃ」
「キモチいい――?」
「そうじゃ、おヌシが想いもつかないキモチのいいことじゃ。だから、なにもおそれることはないのじゃ」
マツリは声をきいた。マスクの内部で言葉が反響する。顔の表情がゆるんでいく。なにもおそれることはない、なによりも安心させる調子を含んで広がり、耳に絡みつくように広がっていく。
「はいっ……なにもおそれません――」
マツリは恍惚した表情を浮かべて答えた。その時、彼女の口を覆う酸素マスクの表面に取り付けられた二つのLEDライトが、通常の青から赤に変わって点滅をはじめた。蚯蚓伯爵の手が美しい人形を愛でるように差し出されたとき、真っ赤な輝きは点滅をやめ、発光したまま消えることがなくなる――そこから漏れた光はやがてマスクを覆い尽くすほどにまで広がり、音とともにマスクは消散してしまう。短く切った髪は肩に向かってばさりと広がった。
「さあ、ワシの胸にくるのじゃ……」
年齢の割に幼いマツリの表情は恍惚としたまま――表情は普段以上の幼さを見せている――声にマツリは引き寄せられ、蚯蚓伯爵の胸に飛び込んだ。
「どうじゃ……気分は……?」
「なにもおそれてません……」
壊れた機械のように、マツリは声を漏らした。
「それはないのじゃ……ワシの胸にきてどう思った?」
「蚯蚓伯爵様の胸、暖かい――」
ゴーピンクは腕をまわし、ぎゅっとすがりついて蚯蚓伯爵にはりついた。安心するように表情を崩して顔を埋めるマツリに警戒心はなく――
「そうじゃろう……・そうじゃろう……これからもっと暖かい儀式を行うのじゃからなぁっ……」
「もっと暖かい……?」
「そうじゃ……」
蚯蚓伯爵はそういって、マツリの顎に指をやり、その柔らかく潤んだ唇を自らの唇に引き寄せた。
「ううっ……んんっ……」
瞼を閉じたマツリは自ら舌をのばして絡ませていく。
「んんんっ……」
同時に、蚯蚓伯爵の股間から巨大な蚯蚓が現れて伸びると、ゴーピンクの股間に張り付き、その柔らかい女体の弾力を受けると、次第に硬直し、その大きさを表していった。
「あぁっ……」
赤く染まった声が広がる。戸惑うようなマツリの声、彼女の頬は染まり、目は赤い目に釘付けになったまま離れなく、離れられなくなっていく。
「ああぁっ……これは……」
「これはワシのかわいい息子じゃ……」
それは長さが一メートルほどもあり、太さも水道のパイプほどもあった――ゴーピンクはそれに馬乗りになる格好になって、ゆさゆさと揺れながら、それはますます硬くなっていく。そのとき、蚯蚓がぼわっとした光とともに、細かくふるえ始めた。
「ああぁっ……んぁっ!」
「これで、おヌシの体を貫くことはできぬが……これで、おヌシの傷ついた体をいやすことはできるのじゃ……」
「ああぁっ!!」
声をあげて肩をふるわせるマツリ――彼女のブーツを履いた足が、甘い吐息とともに、宙に浮き上がる――蚯蚓にまたがったまま、宙に浮き上がるマツリ、馬乗りになった蚯蚓に体重がかかるが、それは折れることもなく、さらに硬度を増していき、ますます赤い光を強くしていく。アンチハザードスーツに包まれた腿で、蚯蚓を挟むマツリ――エネルギーのウェーブは、彼女の体に淡い振動を作りだし、マツリはふるえる。
「あはぁっ……あぁあっ……・ああっあぁっっ!?」
「なにもをおそれることはないといったじゃろう……いやなことはないっのじゃ……」
「ああぁっ……はいっ! あんっ! あぁっ!! あぁっ!!」
びゅっと締め付けるような感覚が全身に入り込んできて、マツリは声をあげる。ふるえる。ふるえはとまらなくなり、体中から鳥肌が起きる。
「おヌシの体は柔らかい。おヌシはスーツを着ていても、柔らかい体をしているのがわかるのぉっ……絶品じゃ、絶品な体じゃのぉっ……!」
ゴーピンクは腰をふるわせる――揺れる体、マツリはその揺れに翻弄されていく。なにも考えられなっていく。ただ、蚯蚓伯爵の声が浴びせられ、とろんとした甘い感覚だけが体を支配していて、どうすることもできずに、口元のゆるみがとめられなくなっていく。
「あはぁっ……んんぁっ! ああぁっ! あんっああぁっ!!」
マツリは――目をきゅっと細めてふるえた。ふるえがとまらなくなり、蚯蚓によって揺さぶられてるのか、自分がふるえているのかわからなくなっていく。
「あああぁっん!!」
呼吸が乱れて感覚の高ぶりをとめられずに、ただふるえることしかできなくなっていく。
「はぁっ……んんぁっ、いいっ! いいっ!」
幼い表情の隙間から色気の帯びた声が漏れる。絶え間ないウェーブが体の中に快楽をそそぎ込み、甘く囁きかけてくる蚯蚓伯爵の声に、マツリは乱れていく。とめるものはなく、ただただ、マツリは腰を動かし――とまらなくなっていく。
「あああんっ! あんっ! あああぁんんぁっ! ああぁあっ! ああああああぁあ!!」
少女の面影を残した彼女の口から動物を思わせる声が漏れ広がっていく――のどをふるわせ発した声のあとに、マツリは痙攣するようにふるえ、アンチハザードスーツを着たまま絶頂を迎えたことがわかって――
「あぁあっ……んんぁっ……」
なにも考えられず、蚯蚓伯爵に包まれて立ったままイカされて――だけど、それがいやだとは思えず、ただふるえる感覚だけがしていた。
「んんぁっ」
「おヌシはなかなかの美味じゃ……」
蚯蚓伯爵はいいながら、マツリのうなじに舌をはわせた。口元から唾液をこぼし、マツリは相手にすがりつく。彼女には目の前の男以外のだれもいなくて、蚯蚓の振動を受けながら、更に絡みついて足を絡めていく。
「おヌシにもわかったじゃろう。ワシが決して、タイムピンクを無理矢理こうしたわけではないことをなあ……」
声はいまやマツリの体を心地よくふるわせていた。マツリは耳を傾け、そうして、その声に包まれていることを幸せだと思った。
「はいっ……蚯蚓伯爵……さま……」
「そう、それでいいのじゃ……ワシはおヌシの誤解がとけてうれしいわい……おヌシはなかなかの美味じゃ……また、時が来たら、ワシが思う存分味わってやろう……」
声が聞こえた。それは体の中からあふれるように広がって、それから急速に消散していった。声が完全になくなっていく。
「んぁっ……えっ……蚯蚓伯爵さま……」
体にはふやけたような痺れだけがあって、マツリは体をみた。鮮やかなゴーピンクの身体には愛撫の記憶だけが刻まれていて、そうして、横には、タイムピンクだけが残されていた。
繁華街の喧噪の中を、二人の女性が歩いていた。暖かい日が増えてきたというのに、二人はコートに全身を包み、芸能人がするようなサングラスで顔を隠していた。
二人は手をつなぎ、手をコートのポケットの中にいれて、いわゆる恋人つなぎをしていた。
「ここは?」
二人は繁華街を抜けると、一軒の建物の前で足をとめた。その建物の前には、三時間休憩と宿泊とフリータイムの時の料金表示があった。
「いいわ」
二人は、足早にロビーに入ると、部屋の写真が並べられたパネルの前で、機械を操作した。やがて操作が終わると、片方がコートから財布を出して、すぐ横にあけられた窓口で料金を払った。金銭を受け取った係の男は、料金を支払った人間がバイク乗りがするような白いグローブをつけているのに気づいた。
二人はまっすぐエレベーターに乗り、階に到着すると、部屋に入った。部屋は広々として、壁は一面赤かった。その色がどこかグロテスクだった。二人は荷物を奥とサングラスをはずした――巽マツリとユウリは、意味深にほほえみあうと、コートを脱いだ。
二人は首から下にそれぞれのスーツ――アンチハザードスーツとクロノスーツを装着していた。二人は見つめあって、ほほえみあい、ゆっくりと惹かれあいながら重なり、キスをした。身体が密接し、二人はたちまちにゆっくりとかつ理性を失った獣のように動きをみせ始めた。二人は、それぞれ、蚯蚓伯爵によって刻まれた愛撫を思い出そうとお互いの身体を責め、そうして快楽を共有しはじめたのだった。
作品には犯し尽くされ、伯爵に身も心も委ねるユウリが登場します。伯爵様の支配する空間の中でゴーピンクは要救助者のユウリを助けることが出来るのでしょうか!
伯爵の目が赤く輝き、蕩けるような優しく甘い巧みな言葉に身も心もゆっくりと徐々に蕩けていくマツリ。傷付いた心が伯爵に治療され、染め上げられた時にマツリの瞳に映るものは……
兄弟からとても愛され、根は素直に、とても優しくとても強い子に育った娘。マツリはどのヒロインよりも命の重みを知っているヒロインだと思います。そんな彼女が空間内に引き込まれ、ゆっくり時間を刻みながら堕ちゆく姿。ゆっくり緩やかに浸かっていくよう、私も作品に引きずり込まれていきました。
それではヒロピンサイトの巨匠、サワキさんの書かれた伯爵とマツリの愛で織り成す世界に篤と浸ってください!
未来人と蚯蚓の貴族
「ここは……」
ゴーピンク/巽マツリは瞼を開けた。
そこはさっきまでいた火災現場ではなかった。紫色のベールの渦巻く空間で、彼女は逆三角型のバイザーに、不安げな目を浮かべ、あたりをみまわしていた。
「みんな、お兄ちゃん……」
火災現場で倒壊したコンクリートの柱の下を通り抜けて、要救助者の捜索を行っていたはずなのに――気づいたら、マツリはこんな場所にいて、ひどく身体が痺れていた――
「なにもおそれることはないのじゃ……」
不意に聞こえる声――マツリはあたりを見回した。バイザーごしに不安げな目線を投げるマツリ――声は鳥肌を催させるような気持ち悪い声だった。
「誰? 誰なの?」
マツリは声を発し、立ち上がった。立ち上がろうとした。
膝をあげた彼女は身体の感覚が急に消えてしまったような違和感を覚え、気づいた時には地面にうつ伏せになっていた。
「身体が痺れる……動かないっ」
拘束するものはなにもないのに、身体はひどく熱くなり、眉間にしわを寄せた。
「なにもおそれることはないのじゃよ……」
気持ち悪さとは裏腹に、声は優しく語りかけてくる。マツリはとっさに耳に手をあてようとした。マスクにあてた手で声を遮断できるはずもなかったが、そうしたくなるものが声にはあった。
「だれなの? どこにいるの? 災魔はどこ……」
「災魔ではない……」
声はゆっくりと収束してきて、マツリの耳にも声の方向がわかるようになってきた。彼女は顔を向けた。紫色に渦をまく空間の向こうに黒っぽい影が見えた。
「ワシはおヌシの敵ではない……」
そこに現れたのは、赤紫色の怪人だった。背丈は二メートルぐらいで、災魔のようなグロテスクな身体に、貴族を思わせるような不格好なフォーマルウェアを羽織り、女性とわかるものを肩に担いでいた。
「嘘よ!」
肩を踊らせながら、マツリは起きあがろうとする。身体がひどく消耗して、気を張ってないと地面に吸い込まれてしまいそうだった。
「そうか、では、こやつにきいてみるよい」
どさっと、相手はマツリの目の前に落とした。マツリは無意識に目をやる。
「ユウ――ユウリさん!」
そこに投げ出されたのは、かつて彼女もともに戦ったヒロイン――タイムピンク/ユウリだった。
マツリは目を丸くして、その姿をみた。ぼろぼろのクロノスーツを着ていて、マスクは脱がされ、ひどいにおいを放っていた。
「マツリ――あなたあなたなの……」
譫言のようにつぶやく彼女――口元は苦悶を帯びた声とは裏腹に半開きになって――笑っていた。髪は乱れ、肌は真っ青だった。
「そうです。ユウリさん! どうしてどうしてこんなひどい目に――」
「ひどくなんかないわ――」
ぼろぼろのタイムピンクのあげる声――それは正常ではない声だった。助けなきゃ――救命士の使命感にマツリは動いた。
「あなたも――蚯蚓伯爵様にたっぷり犯されるといいわ」
「えっ」
動こうとする意志に反して、身体は痺れて満足に動かない。
息をついて、身体を起こそうと彼女はもがいた。変身しているときにいつも感じる気持ち良さにも似た身体の軽さはどこかへ消えてしまっていて――彼女に投げかけられる言葉。ぼろぼろに傷つけられた彼女の発する狂った声――
「なにをいって――」
「わたしね、蚯蚓伯爵様に愛して貰ったのよ……これまでのセックスとは比べモノにならないほど激しく、比べモノにならないほどロマンティックに」
生々しいセックスという言葉がマツリの耳に反響する。彼女はきゅっと目を細めた。ぴくっぴくっと身体を起こす。彼女の顔には半笑いの表情が張り付いていて、ぼろぼろのスーツの間からは丸みを帯びた彼女の皮膚がかいま見えた。
「そんなぼろぼろの身体で……」
「そう、わたしが望んだのよ。ボロボロになるまで愛してって。めちゃくちゃに犯してって」
声は響く。
マツリは涙を流しそうになった。生々しさを露わにして、生々しい姿をさらしたユウリの姿は、彼女の心の中に入り込んでくる。
「あんな敵に犯してなんて……」
「そうじゃないわ。蚯蚓伯爵様は、敵なんかじゃないわ」
つんとしたにおい――それは激しい雄のにおいだった。さっとさした影に、マツリは頭をあげた。ユウリの横合いから露われた怪人――赤黒く蠢いた相手――のたうつ何百もの蚯蚓が見えたとき、マツリはそれを見つめてしまった。
「タイムピンクをこんな目に遭わせて」
「そうではないのじゃ……タイムピンクがこうなることを望んだのじゃ……そうして、おヌシもやがてワシに激しい幸せを求めむさぼるようになるのじゃ」
マツリにとって、いまのユウリは要救助者で助けなきゃいけなかった。迫りくる敵に思うように力がでない。だけど、お兄ちゃん――マトイお兄ちゃんはいつも、絶体絶命の時、『気合いだ気合い!』と言っていた――
「そんなことにはならないわっ!」
毅然と、マツリは声をあげた。救命士として、救急戦隊として、人の命を助けることに命をかけてきた。お兄ちゃんたちほどじゃないけど、命を助けることには奮闘してきた。
吸い込まれるような脱力を感じながら、ゴーピンクは立ち上がる。立っているだけでつらくて――
「はあぁっはぁっ……」
「ワシの結界の中にありながら、力を発揮できるとはすごいことじゃのう……」
「どういうこと……?」
「ワシの結界は、ワシが遊ぶ為の空間じゃ。この結界の中では、ワシが遊ぶ為におヌシらオナゴの力を自由自在に操ることができるのじゃ……」
「そんな……」
マツリは腰に手をやった。ホルスターに手をやる――だけど、そこに武器はない。
「もちろん、おヌシらの武器を使うこともできない……それでも、おヌシは戦うつもりなのかなのぉ」
「もちろんよ……」
そういうマツリの声から苦渋が漏れる。息があがる。マツリは呼吸が次第に荒くなるのを感じ、呼吸の回数を整えようとした。あまり息を繰り返していると過呼吸になってしまう――だけど、意識すればするほど――身体は言うことをきかなくなっていき――
「どうしてっ……」
身体が自分のものではなくなっていくような違和感、眉間にしわを寄せ、ゴーピンクは胸に手をやった。三角形が折り重ねられて作られた胸の頂点――痛い。締め付けられるようだった。
「さあ、戦うのじゃ……おヌシが選んだ道なのじゃからなぁっ」
蚯蚓伯爵は笑って、足をユウリの頭の上にのせ、ゆさゆさと揺さぶった。
「タイムピンクから離れて……あっくっ……」
よろめきながら、ゴーピンクは蚯蚓伯爵へ向かっていく。足がどけられる。その足がタイムピンクの身体をこづき、ユウリは仰向けになる。その胸が上下している。マツリは、一歩二歩と歩く。
「あっ!」
足下がおぼつかなくて、彼女の足がユウリの肩にぶつかって、ほんのわずかな軸のずれが彼女の身体を地面へ引きずり落としていく。
「あぁっ……くっぁっ……身体が熱い……」
「さあ、そろそろ、あきらめたらどうじゃ……・おヌシは立っているのもやっとなんじゃろう……」
タイムピンクの横で四つん這いになるマツリ――顔をあげ、バイザー越しに敵の姿をみた。ユウリさんを手篭めにした恐ろしい敵――その目が赤い光を放つ。それは発光ダイオートのライトのようで、かつ光線のようだった。
「負けない……負けたくない……」
「そう思うことは大事じゃ……正義のヒロインにとって、負けない気持ちは大切なことじゃ……」
マツリは、敵の目をみてゆっくりとした声をきいた。耳の中に届いて、鼓膜を小刻みにふるわせた。マツリは耳に手をやり、だけど痺れて、体勢を保っていることができずに――四つん這いになった。
「ゴーピンクよ……おヌシは正義のヒロインじゃな?」
「もちろんよ……」
「おヌシの敵はだれじゃ……」
「災魔一族……」
「そうじゃ。ワシは災魔ではない」
「そんなの――」
「ワシの声をきくのじゃ」
ぴっしゃりとした声に、マツリは背筋をぴくっとさせた。
「はい……」
「よかろう。ワシは災魔ではない。どんな災害も起こすことができないのじゃ……ワシは蚯蚓伯爵。時空から時空を旅して、おヌシのようなオナゴと遊ぶだけのもの……よいな」
「はいっ……」
「蚯蚓伯爵は敵ではない……ゴーピンク、言ってみるのじゃ……」
「蚯蚓伯爵は敵ではない……」
「そうじゃ……ゴーピンク、おヌシは敵ではないワシの目をよくみるのじゃ……」
耳鳴りがした。マツリは、ただ蚯蚓伯爵の赤く輝く目をみて、そのまなこに引きずり込まれていく不思議な感覚を感じていた。その感覚を帯びると、痺れた感覚はにわかに心地よいものになっていく。身体は軽くなり、なにもかも溶けてしまうような倦怠感は柔らかいものに変化していく。
「はいっ」
「ワシがタイムピンクにしたことはおヌシと同じ、傷ついたオナゴをいやしてあげただけのことじゃ。そうじゃな?」
声はゆっくりして柔らかく、何者をもほぐすようにマツリの中に入り込んでいく。
「はい、言う通りです……」
マツリの口に言葉がついてでる。口にしてしまうと、マツリの心には蚯蚓伯爵の言葉が正しく思われてきた。蚯蚓伯爵はなにも間違えたことを言っていないし、やっていない、そういうふうに思えてきた。
「そうじゃ……・」
「ゴーピンク、ワシのみるところ、おヌシもまた傷ついておる。いますぐ治療が必要じゃ」
蚯蚓伯爵は手をさしだした。
「立ち上がってみるのじゃ……」
すると、さっきまであんなに身体が重かったのに、その重みがなくなっているのがわかって、マツリは手をのばして、手をとった。手は暖かかった。マツリは立ち上がった。地面から立ち上がる、ただそれだけのことなのに、まるで肩に翼がついていて飛び上がるような感覚で、思わず彼女は声をあげた。
「あっ……・」
「どうしたのじゃ……」
「身体が軽いです……」
「そうじゃ、ワシが治療すればもっと身体は軽くなるのじゃ。さあ、ゴーピンクよ、こっちを向くのじゃ」
言ってマツリは蚯蚓伯爵と向き合った。マツリの肉体はアンチハザードスーツに身を包んで、プロポーションを露わにしていた。ひきしまった手足に丸みを帯びた腰や、胸――
蚯蚓伯爵はスカートに手をやる。
「いやっ!?」
思わずされたスカートめくりに手をやって、マツリは声をあげる。下劣な笑いがして、彼女は顔をあげた。赤い目の光はさらにつよくなる。
「そうじゃ、それはいやなことじゃ。だが、おヌシはワシからされることはなにもいやなことがなくなるのじゃ。むしろ、いやなことをされればされるほどキモチいい、そう思えるようになってくるのじゃ」
「キモチいい――?」
「そうじゃ、おヌシが想いもつかないキモチのいいことじゃ。だから、なにもおそれることはないのじゃ」
マツリは声をきいた。マスクの内部で言葉が反響する。顔の表情がゆるんでいく。なにもおそれることはない、なによりも安心させる調子を含んで広がり、耳に絡みつくように広がっていく。
「はいっ……なにもおそれません――」
マツリは恍惚した表情を浮かべて答えた。その時、彼女の口を覆う酸素マスクの表面に取り付けられた二つのLEDライトが、通常の青から赤に変わって点滅をはじめた。蚯蚓伯爵の手が美しい人形を愛でるように差し出されたとき、真っ赤な輝きは点滅をやめ、発光したまま消えることがなくなる――そこから漏れた光はやがてマスクを覆い尽くすほどにまで広がり、音とともにマスクは消散してしまう。短く切った髪は肩に向かってばさりと広がった。
「さあ、ワシの胸にくるのじゃ……」
年齢の割に幼いマツリの表情は恍惚としたまま――表情は普段以上の幼さを見せている――声にマツリは引き寄せられ、蚯蚓伯爵の胸に飛び込んだ。
「どうじゃ……気分は……?」
「なにもおそれてません……」
壊れた機械のように、マツリは声を漏らした。
「それはないのじゃ……ワシの胸にきてどう思った?」
「蚯蚓伯爵様の胸、暖かい――」
ゴーピンクは腕をまわし、ぎゅっとすがりついて蚯蚓伯爵にはりついた。安心するように表情を崩して顔を埋めるマツリに警戒心はなく――
「そうじゃろう……・そうじゃろう……これからもっと暖かい儀式を行うのじゃからなぁっ……」
「もっと暖かい……?」
「そうじゃ……」
蚯蚓伯爵はそういって、マツリの顎に指をやり、その柔らかく潤んだ唇を自らの唇に引き寄せた。
「ううっ……んんっ……」
瞼を閉じたマツリは自ら舌をのばして絡ませていく。
「んんんっ……」
同時に、蚯蚓伯爵の股間から巨大な蚯蚓が現れて伸びると、ゴーピンクの股間に張り付き、その柔らかい女体の弾力を受けると、次第に硬直し、その大きさを表していった。
「あぁっ……」
赤く染まった声が広がる。戸惑うようなマツリの声、彼女の頬は染まり、目は赤い目に釘付けになったまま離れなく、離れられなくなっていく。
「ああぁっ……これは……」
「これはワシのかわいい息子じゃ……」
それは長さが一メートルほどもあり、太さも水道のパイプほどもあった――ゴーピンクはそれに馬乗りになる格好になって、ゆさゆさと揺れながら、それはますます硬くなっていく。そのとき、蚯蚓がぼわっとした光とともに、細かくふるえ始めた。
「ああぁっ……んぁっ!」
「これで、おヌシの体を貫くことはできぬが……これで、おヌシの傷ついた体をいやすことはできるのじゃ……」
「ああぁっ!!」
声をあげて肩をふるわせるマツリ――彼女のブーツを履いた足が、甘い吐息とともに、宙に浮き上がる――蚯蚓にまたがったまま、宙に浮き上がるマツリ、馬乗りになった蚯蚓に体重がかかるが、それは折れることもなく、さらに硬度を増していき、ますます赤い光を強くしていく。アンチハザードスーツに包まれた腿で、蚯蚓を挟むマツリ――エネルギーのウェーブは、彼女の体に淡い振動を作りだし、マツリはふるえる。
「あはぁっ……あぁあっ……・ああっあぁっっ!?」
「なにもをおそれることはないといったじゃろう……いやなことはないっのじゃ……」
「ああぁっ……はいっ! あんっ! あぁっ!! あぁっ!!」
びゅっと締め付けるような感覚が全身に入り込んできて、マツリは声をあげる。ふるえる。ふるえはとまらなくなり、体中から鳥肌が起きる。
「おヌシの体は柔らかい。おヌシはスーツを着ていても、柔らかい体をしているのがわかるのぉっ……絶品じゃ、絶品な体じゃのぉっ……!」
ゴーピンクは腰をふるわせる――揺れる体、マツリはその揺れに翻弄されていく。なにも考えられなっていく。ただ、蚯蚓伯爵の声が浴びせられ、とろんとした甘い感覚だけが体を支配していて、どうすることもできずに、口元のゆるみがとめられなくなっていく。
「あはぁっ……んんぁっ! ああぁっ! あんっああぁっ!!」
マツリは――目をきゅっと細めてふるえた。ふるえがとまらなくなり、蚯蚓によって揺さぶられてるのか、自分がふるえているのかわからなくなっていく。
「あああぁっん!!」
呼吸が乱れて感覚の高ぶりをとめられずに、ただふるえることしかできなくなっていく。
「はぁっ……んんぁっ、いいっ! いいっ!」
幼い表情の隙間から色気の帯びた声が漏れる。絶え間ないウェーブが体の中に快楽をそそぎ込み、甘く囁きかけてくる蚯蚓伯爵の声に、マツリは乱れていく。とめるものはなく、ただただ、マツリは腰を動かし――とまらなくなっていく。
「あああんっ! あんっ! あああぁんんぁっ! ああぁあっ! ああああああぁあ!!」
少女の面影を残した彼女の口から動物を思わせる声が漏れ広がっていく――のどをふるわせ発した声のあとに、マツリは痙攣するようにふるえ、アンチハザードスーツを着たまま絶頂を迎えたことがわかって――
「あぁあっ……んんぁっ……」
なにも考えられず、蚯蚓伯爵に包まれて立ったままイカされて――だけど、それがいやだとは思えず、ただふるえる感覚だけがしていた。
「んんぁっ」
「おヌシはなかなかの美味じゃ……」
蚯蚓伯爵はいいながら、マツリのうなじに舌をはわせた。口元から唾液をこぼし、マツリは相手にすがりつく。彼女には目の前の男以外のだれもいなくて、蚯蚓の振動を受けながら、更に絡みついて足を絡めていく。
「おヌシにもわかったじゃろう。ワシが決して、タイムピンクを無理矢理こうしたわけではないことをなあ……」
声はいまやマツリの体を心地よくふるわせていた。マツリは耳を傾け、そうして、その声に包まれていることを幸せだと思った。
「はいっ……蚯蚓伯爵……さま……」
「そう、それでいいのじゃ……ワシはおヌシの誤解がとけてうれしいわい……おヌシはなかなかの美味じゃ……また、時が来たら、ワシが思う存分味わってやろう……」
声が聞こえた。それは体の中からあふれるように広がって、それから急速に消散していった。声が完全になくなっていく。
「んぁっ……えっ……蚯蚓伯爵さま……」
体にはふやけたような痺れだけがあって、マツリは体をみた。鮮やかなゴーピンクの身体には愛撫の記憶だけが刻まれていて、そうして、横には、タイムピンクだけが残されていた。
繁華街の喧噪の中を、二人の女性が歩いていた。暖かい日が増えてきたというのに、二人はコートに全身を包み、芸能人がするようなサングラスで顔を隠していた。
二人は手をつなぎ、手をコートのポケットの中にいれて、いわゆる恋人つなぎをしていた。
「ここは?」
二人は繁華街を抜けると、一軒の建物の前で足をとめた。その建物の前には、三時間休憩と宿泊とフリータイムの時の料金表示があった。
「いいわ」
二人は、足早にロビーに入ると、部屋の写真が並べられたパネルの前で、機械を操作した。やがて操作が終わると、片方がコートから財布を出して、すぐ横にあけられた窓口で料金を払った。金銭を受け取った係の男は、料金を支払った人間がバイク乗りがするような白いグローブをつけているのに気づいた。
二人はまっすぐエレベーターに乗り、階に到着すると、部屋に入った。部屋は広々として、壁は一面赤かった。その色がどこかグロテスクだった。二人は荷物を奥とサングラスをはずした――巽マツリとユウリは、意味深にほほえみあうと、コートを脱いだ。
二人は首から下にそれぞれのスーツ――アンチハザードスーツとクロノスーツを装着していた。二人は見つめあって、ほほえみあい、ゆっくりと惹かれあいながら重なり、キスをした。身体が密接し、二人はたちまちにゆっくりとかつ理性を失った獣のように動きをみせ始めた。二人は、それぞれ、蚯蚓伯爵によって刻まれた愛撫を思い出そうとお互いの身体を責め、そうして快楽を共有しはじめたのだった。
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素晴らしい…
早速読ませていただきましたが
巨匠の手で新たな展開になって来ましたね。
伯爵様は悪の組織にも属さない第三者的な立場というのが
自分にとっては一番の魅力に思えます。
それゆえ文章力がないのが残念至極ですが
最近ではラン+メレとか七海+フラビ+ウェンディなどの可愛い系悪のヒロインから
ヒーローにやられてしまうエロパロがついに出たキメラなど正統派の悪の華まで
ヒロインもろとも伯爵様に…という妄想だけは膨らんでます。
巨匠の手で新たな展開になって来ましたね。
伯爵様は悪の組織にも属さない第三者的な立場というのが
自分にとっては一番の魅力に思えます。
それゆえ文章力がないのが残念至極ですが
最近ではラン+メレとか七海+フラビ+ウェンディなどの可愛い系悪のヒロインから
ヒーローにやられてしまうエロパロがついに出たキメラなど正統派の悪の華まで
ヒロインもろとも伯爵様に…という妄想だけは膨らんでます。
No title
サワキさんの小説でカタツムリの話が見てみたいですね。サワキさんの
搾乳、妊娠、出産も見てみたいと思います
搾乳、妊娠、出産も見てみたいと思います
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
No title
お忙しい中、マツリ版を作ってくださりありがとうございます。私は戦隊の中で一番マツリが好きなのに、
他サイトは千里や七海ばかりで(もちろん彼女達も好きですが)、複雑な気持ちでした。
今度は麗・芳香版(できれば痴漢版)でお願いします。
他サイトは千里や七海ばかりで(もちろん彼女達も好きですが)、複雑な気持ちでした。
今度は麗・芳香版(できれば痴漢版)でお願いします。
No title
>特撮最前線さん、コメントありがとうございます。
巨匠、サワキさんが伯爵は悪の組織にも属さない第三者的な立場で活動しているということを書いて下さった部分は本当に素晴らしく、魅力に思えます。素晴らしい文章で表現して下さり、私も嬉しい限りでした。
>名無しさん、コメントありがとうございます。
カタツムリ系や搾乳、妊娠、出産をサワキさんが書かれた場合、とても深みや味わいのある逸品が出来上がると思います。
>ななしのゴンベエさん、コメントありがとうございます。
私もまさか、巨匠サワキさんにゴーピンクSSを書いて頂けるとは思ってもみなかったので本当に嬉しく思います。
私も自分の好きなヒロインの作品が少ないな~と思い、「ならば自分で!」というのが前サイト、現ブログを始めた動機の一つでもあります。
私の書く作品は拙く、語彙も乏しく、作品に味の深みを出し切れませんがサワキさんの描かれる心理描写、文章の中でその語彙を選ばれる感覚はとても勉強になり、学んでいきたいです。
(許されるなら私の止まることを知らない妄想を巨匠に文章化していただきたいです(笑))
ありがとうございます
好評なようでくすぐったいご評価ありがとうございます
mengeleさんの止まることを知らない妄想も
教えていただければ、ぜひ文章化に協力したいと
思いますので、よろしくです
ななしのゴンベエさんのマジカルシスターズ版は、
ぜひmengeleさんの作品で読みたいので、
わたしも熱望して待ってます^^
今回はありがとうございます
mengeleさんの止まることを知らない妄想も
教えていただければ、ぜひ文章化に協力したいと
思いますので、よろしくです
ななしのゴンベエさんのマジカルシスターズ版は、
ぜひmengeleさんの作品で読みたいので、
わたしも熱望して待ってます^^
今回はありがとうございます
Re: ありがとうございます
こんばんは、サワキさん。
素晴らしい作品で大好評です!
私の妄想は自分でも収拾がつかず、作品化は愚か、妄想だけで暴走している始末です(恥)
そんな暴走でもサワキさんの青白い炎のように燃える作品にして頂けるとしたら嬉しいです。
(ただ、もう少し自分自身の整理が必要です……(汗))
蚯蚓伯爵×マジカルシスターズ版。私なりのテイストで整えていこうと思います。
こちらこそ、今回も本当にありがとうございました。
素晴らしい作品で大好評です!
私の妄想は自分でも収拾がつかず、作品化は愚か、妄想だけで暴走している始末です(恥)
そんな暴走でもサワキさんの青白い炎のように燃える作品にして頂けるとしたら嬉しいです。
(ただ、もう少し自分自身の整理が必要です……(汗))
蚯蚓伯爵×マジカルシスターズ版。私なりのテイストで整えていこうと思います。
こちらこそ、今回も本当にありがとうございました。
肝心のユウリの話は?